探検・冒険・ノンフィクションの本と腸活スイーツや発酵食のお店

喫茶ヒロミブックス

創の実 吉祥寺

KICHIJOJI

OWNER

二荒 美樹

FUTARA MIKI

「好き」を仕事に。たどり着いた答えが、
興味のある分野に特化した書店とカフェでした。

人生の後半に差し掛かり、「残りの日々を、どんなふうに過ごそう」と考えた時に、やらずにはいられないことを仕事にして生きていきたいと思いました。私が以前から好きだったのは探検や冒険の本を読むこと。それなら、その分野に特化した書店を作れば楽しいはず…。けれども出版不況で多くの書店が閉店に追い込まれている昨今、分野を限定した書店に活路はあるだろうか…。その時に思いついたのが、これまで飲食業界で働いてきた経験を活かし、書店にカフェを併設することでした。こうして誕生したのが、『喫茶ヒロミブックス』。他にはない書店だからこそわざわざ足を運んで下さるお客様も多く、多くのつながりが生まれています。

PICK UP

古本の中には、入手困難なマニア垂涎のお宝本も

店内には新刊と古本を合わせて100冊以上の書籍が並んでいます。古本の中には入手困難なものも多く、探検や冒険の分野が好きな方なら「探していた一冊」が見つかるかもしれません。また料理教室やワークショップだけでなく、探検家や作家の方をお招きしてのトークショーやサイン会も定期的に実施。このスペースで、出来ることを色々試していくつもりです。

OWNER INTERVIEW

二荒 美樹

FUTARA MIKI

探検・冒険に特化した書店と発酵をテーマにしたカフェ。ニッチだからこそのニーズもあります。

趣味とキャリアを活かして、起業を決意

 結婚や出産で専業主婦になった時期もありましたが、広告会社や出張料理のシェフなど、これまでさまざまな職に就いてきました。また両親の介護が始まってからは社会福祉士の資格も取り、その分野に転職。数年前に父を看取り母も施設に入居した時に、ふと思ったのが「残りの人生、どんなふうに生きようか」ということだったのです。あと20年くらいは働きたいなと思い、公社が立川で運営する「TOKYO創業ステーション」に通い、起業に関する勉強を始めました。飲食分野でのキャリアが長かったこともあり料理を提供するような仕事もいいなと思いましたが、どうせなら自分が好きな探検や冒険に関する書籍に特化した書店を出したいと思いました。

 そんな時、たまたま息子が通っていた学校でお世話になった方が、東京都チャレンジショップ「創の実」(以下「創の実」という。)に『デンマーク カフェ ヴェルベコメ』を出店していたことを知り、それがきっかけで「創の実」への出店を考えるようになりました。応募書類である事業計画書などの作成と並行して、都内の独立系書店さんを回り、ヒアリングを実施、書店経営は黒字を出すことが難しいという現実を知りました。それなら事業の柱を書籍販売以外にも作りたいと思い、カフェを併設することに。探検や冒険の本が中心なので、店舗で提供する料理も世界各地の料理にしたいなと思いましたが、食材の調達などが難しいことから断念。そこで世界中の食文化に取り入れられている「発酵」という知恵・工夫に着目し、発酵食品を使った料理やスイーツを出すことにしました。

 書籍に関しては新刊書だけでなく、古物商の許可を取り古本も扱うことに。中には既に入手困難となっている、マニアにとってはぜひ手にしたいような本も取り揃えています。ちなみに店名のヒロミは、我が家の愛犬の名前から採りました。いつか、ヒロミが店番をしてくれるようなお店を出せるといいなという想いが込められています。

同じ趣味の方の応援が糧となり、お店の成長を実感

 店舗運営の経験がなかったこともあり、4.5坪の店内にどのように什器を配置し、約100冊の書籍を並べカフェスペースを確保するかに悩みました。お店を始める前から「創の実」を卒業した後はどこかでお店を持ちたいと思っていたので、本棚をこの段階で購入するのは得策ではないと考え、ホームセンターで木材を購入。自分で組み立てることにしました。

 そんな時にとても力になったのが、公社が派遣してくださるコンサルタントの方の存在です。ホームセンターで探していた商品が見つけられなかった時、コンサルタントの方に電話をかけたところ具体的な商品名まで教えていただき、すぐに解決しました。アドバイスが具体的で助かっています。また開店後も月末に売上などの数字をまとめていると、「ここをこうしたほうがいい」といった的確な指示をいただけます。私はランチのメニューなどでも、つい「一品くらい、サービスしてもいいかなぁ」と料理を追加したくなるのですが、「それをプラスすると、赤字になる」というふうにしっかり引き締めてくださるので、とても助かっています。原価計算など細かく相談に乗ってくださるので、新しい試みを始めようというときの現実的な判断材料となります。

 開店前は、知り合いからも「そんなニッチなお店、絶対長く続かないよ」などと言われましたが、ニッチも極めればニーズはあるのだなと感じています。お客様に「こういうお店を作ってもらえて良かった」と言っていただけると、こちらのほうが嬉しくなります。リピートして来て下さるお客様に「今、こういう本を探しているんですよ」とお話したところ、次に来店された時に探していた本や関連書籍をリュックいっぱいに持って来て見せて下さったり。同じ趣味の方の応援が糧となって、お店がどんどん成長しているように感じています。

地域の広場のような店を、いつか作りたい

 書籍の売り上げを補う目的でカフェを併設しましたが、それをさらに強化するため、イベントも積極的に行っています。探検家の方に講演をお願いしたり、味噌作りのワークショップを開催してみたり。探検家の方は突然海外に旅立ってしまうこともあるので、依頼が難しいところもありますが、それでも自分が会いたかった方に講演をお願いし、実際にお目にかかれるのは本当に楽しいです。そうした方々に直接お会いして、「ぜひ、新作を執筆して下さい」といった相談や提案が出来る日がくるとは思ってもいませんでした。また、今後はさらに事業の柱を作るため、本の出版や古本のネット販売も考えています。

 「創の実」に出店し、吉祥寺で店舗運営を行っているということは、一つの自信にもつながっています。当初は「吉祥寺に遊びに来たら、面白そうな店があったので寄ってみた」といったお客様が増えるといいなと思っていましたが、今は「『喫茶ヒロミブックス』があるから吉祥寺に行こう」と言われるお店にしたいと思っています。探検家の方やお客様と接する毎日ですが、「お店って、人と人をつなげる場所でもあるんだなぁ」と実感しています。「創の実」卒業後は、現在の業態を維持しつつ、様々な人が気軽に集まれる「地域の広場」のようなお店を作ることができればと思っています。

PROFILE

大学卒業後に広告会社に勤務。結婚・出産を機に転職そして退職し、10年間専業主婦に。復職後は元の業界ではなく興味のあった飲食業界に進み、保育園の給食マネージャーや惣菜カフェの立ち上げ、出張シェフなどを経験する。その後、両親の介護が必要になったことから福祉の分野を知りたいと思い、社会福祉士の資格を取得して介護や障害福祉関連の仕事に就くが、先の人生プランを模索しようと「TOKYO創業ステーション」に通うようになる中で、昔から好きだった探検・冒険に関する書店開きたいという想いが高まった。同時期に知人から「創の実」のことを聞いて応募を決意、2025年12月、『喫茶ヒロミブックス』をオープン。